小説

小説 · 23日 9月 2023
交野新聞連載「ボクの神様」 14 「俺って、お金持ってるやん」 と、伸ちゃんが言った。 忘れていたけど、10億円ほどある。 「いくら使った?」 「それが、ほとんどそのままなんだ。なんだか、怖くて」 「なんだよそれ」 「選挙にお金がいるかと思ってたんだけど、減らないんだ」 「じゃぁ、使ってみたら、試しにさ」...
小説 · 08日 9月 2019
僕の神さま 13 「公約とかいるんじゃない?」と、千夏が言った。 伸ちゃんの部屋で、第一回の作戦会議だった。 「ウグイス嬢やるんだ」と、だーうえが言った。 「女子中学生がやるわけねーだろ」 「あかんの?」と、伸ちゃんが言った。 「あかんやろ?」と、千夏が言った。 僕も、だめだと思う。どうなのかな。...
小説 · 04日 7月 2019
おっぱい 1  蒸し暑い八月の夕方。  建仁寺にある両足院に私はいた。隣には兄が座ってる。  両足院には、坐禅をしにきた。  兄妹で坐禅なんて、妙かもだが「そう云うたら、坐禅したことないな・・・」と、兄の独り言を聴いて「私もやわ」と、私は兄について京都に来た。...
小説 · 03日 7月 2019
僕の神様 12話 卓球部の部活が終わり、僕は自転車に乗って帰宅を急いでいた。 べつに用があるわけじゃないけど、お腹が空いていたからね。 キッチンのテーブルの籠に、バナナがあったし冷蔵庫にプリンがあるハズだった。 数ヶ月前のこの時間は薄暗かったけど、真昼のように陽が高かった。 もう、夏が近かった。...
小説 · 11日 5月 2019
交野新聞『ボクの神様』11話 「はいさい!」 伸ちゃんの部屋でマンガを読んでいると、縁側から声をかけられた。 赤いアロハを来て、麦わら帽子をかぶり、 半ズボンをはいた小柄な男が立っていた。 「カミさんは、ここかい?」 その男は、首にかけた手ぬぐいで汗を拭きながら言った。 「伸ちゃんなら、出かけてます」 「カミさんさー」...
小説 · 04日 3月 2019
『ボクの神様』 10話 「市長選って、なんや?」と、神様が伸ちゃんに訊いた。 「思いついだんだよ」と、伸ちゃんが答えた。 神様は、ゲームに飽きたようで、畳にごろんと横になって肘枕をした。 「みんなの投票で、カタノ市の代表に、俺はなる」 「入札のことやな」 「古風に言うとそうだな」 「おもろいのか」 「やってみないと分からん」...
小説 · 18日 1月 2019
僕の神様 9 帰宅を急いでいた。 期末試験の最中で、世界史と古典が終わってないからだ。 『魚公園』の横を通ると、ブランコでスマホを覗いている伸ちゃんが見えた。 真っ赤な魚のジャングルジムが目立つ小さな公園だ。伸ちゃん以外の人影はない。...
小説 · 11日 10月 2018
『ボクの神様』 7 ほら。 と、冷たい缶コーラを伸ちゃんが投げてよこした。 部屋に遊びに来ると、飲み物を奢ってくれる。たいてい、缶コーラなんだけどね。 伸ちゃんは、微糖と書かれた缶コーヒーを一口飲むと、財布から2千円取り出した。 「くれるの?」 「そーじゃない。銀行から残りの2千円下ろしてきたんだ」...
小説 · 02日 8月 2018
ボクの神様 第6回 「選挙戦は、始まっているんだ」 僕は卓球部の部室で、会長候補のだーうえに言った。 卓球部の部室が、選対本部だった。部長が僕だから、自由がきく。 ホワイトボードを理科準備室から拝借してきたから、部室は選対本部風になっていた。 ボードに『上田悠太 選挙対策本部』と、大きくタイトルが書かれている。...
小説 · 01日 6月 2018
ボクの神様 5 「亮ちゃん!」と伸ちゃんが僕の部屋のドアを乱暴に開け、叫んで入ってきた。 二階まで駆け上がったらしく、息が荒い。顔が上気していて赤みがかっている。 相変わらず、白いTシャツに、よれよれのブルーのジャージを着ている。 時計は3時17分を指していた。土曜日の午後のことだ。...

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