653万部だった。
1995年、少年ジャンプの発行数がギネスブックに載った。
月曜日の電車に乗ったら、乗客の何人かが少年ジャンプを読んでいた時代である。
スマホは、まだない。
乗客は、折りたたんだ新聞だったり、ビックコミックスピリッツだったり、単行本だったり、当たり前のように紙媒体の活字を目で追っていた。
最近、少年ジャンプは200万部を切ったそうだ。
それでも、200万部売れているのが驚異的だけど…。
電車の中では、スマホの画面を見ている人が圧倒的に多い。
ゲーム、ライン、Facebook、Twitterなどなど、見ているものは多様化している。
そこに共通するのは、無料だということだ。
インターネットは、基本、無料で利用できるサービスなのだ。
少年ジャンプの凄さは、653万部も有料なことだと思う。
「続きが読みたい」
ジャンプは麻薬のような常習的読者を育てていく、ビジネスモデルなのかもしれない。
少年ジャンプが元気だった1990年代のインターネットはひどかった。
スマホはないから、パソコンで読むネット環境である。
ヤフーに行っても、天気予報とか、なんだか分からない公共団体や、慶応大学、東大のコンテンツくらい。もう、スカスカである。
仕方がないからアメリカのNASAに行って「おう、ロケットだ! アメリカだ!」と、感心しながら、読めもしない英語を目で追っていた。
そもそも、インターネットに接続するのも一苦労だ。
で、スカスカに飽きた僕は『音楽批評』というサイトをつくってみた。大変だった!!!
イラストはあったが、テキストばかりのサイトである。毎週、月曜日に更新。少年ジャンプと同じ。
みんな読むものがないから、毎週、結構な人が来てくれた。
検索エンジンも、当然ない。
無料で利用できるネットの構造は、いまも変わらない。
同じく、基本無料なTVやラジオは、ネットの登場でわりを食っている状況だ。
音楽や小説、エッセイなど、かつて特権を持つ作家や会社が独占していた発信が、ネットで誰でもできるようになった。
いまや「面白いか、どうか」が、重要なのだ。
ピコ太郎なんて、典型である。
かつての少年ジャンプのように「続きが読みたい」というファンを集める。
有料メールマガジンも、そんなビジネスモデルだろう。ホリエモンが稼いでるようだけど。
ネット世界で無料だったサービスの有料化が進んでいるように感じている。
新しい世界に入りつつある。
起業のヒントだらけなのだ。
文:紙本櫻士
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