何が大変って資金集め。
アントレプレナー(起業家)にとって、資金集めは避けて通れない大きな壁だ。
どんなにいいアイデアで、未来を変える商品があると力説しても、スタートアップ時点では、妄想と言われても仕方がない。
なにしろ、まだ出来てもいないのだから。
で、企画書や事業計画書を持ってプレゼンをして回るのだけど「で、儲かるの?」という質問に
「儲かります」と答え、
「根拠は?」
と来るわけだが、未来の確約は難しい。
「客はいます。ほら」と、注文書の山を見せることができればよいが、大抵、市場分析により何%が客になりうるという話しになる。
投資家は、それに乗るかどうか?
僕たちの事業もある程度は、自己資金でやっているけど、さらに大きくするためにはさらなる資金が必要だ。
みんなどうしてるの?
と思い、昨日、先輩アントレプレナーのNさんに話を聞いてきた。
市内の喫茶店でである。
「僕は若くないからそれだけでアウトなんだ」と、冒頭、Nさんは言った。
ならば僕なんか、Nさんより5つも年上で、完全にアウトである。
「若い社長を見つけてきて、勢いがあるように見せたい。僕は株主でいいんだ」
「資金集めも若い社長の方が有利なんですか?」と、僕が訊くと
「そりゃそうでしょう。上場を目指しているならね。みんなジジイに資金は使いたくないんだ」と、Nさんはコーヒーを飲みながら早口で言った。
Nさんは、頭の中が忙しい典型的な早口の人である。いつも思考がクルクル回っているように見えた。
「3千万以下なら、わりと簡単に集まるよ。株式分割するとか手はいくらでもある。ベンチャーキャピタルは最後だね。あそこは嫌な思いをいっぱいしたけど、金は出ない。少なくとも、有利な条件はないと思ったほうがいい。銀行の方がまだましだ」と、Nさんは吐き捨てた。
どうやら、相当、ひどい目に会ったらしい。
なので、基本オススメできないという。
そうなのか?
「まず、組む大手企業をプレゼンで探して、それから資金集めを始めるとといい。企業からの紹介も期待できる。そのための株式会社なんだから。エンジェル投資家を探す手もあるけど、あの人たちは1億とか5千万とかの投資先を探しているから、3千万以下だと難しい。でいくらいるの?」と、Nさんは言った。
いくらいるんだ? と、自問する体たらくである。
ちなみに、Nさんはあと5億集めるために奔走している。
自分は、資金集めが苦手なんだ。とも、こぼしていた。
5億集めている人から見ると、数千万が小さく見えるのかもしれない。
さて、僕たちに資金集めは可能なのか?
いくらいるのか?
いやいや、そんなこと言っている場合ではない。
文:紙本櫻士
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