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雑誌が元気だった頃、僕が書いたサライ。

紙が消えていく?

 

随分前だけど、サライで湖畔の宿という記事を書いたことがある。

まだ、スマホがない時代のことだ。

 

バブリはとっくに終わっていた、2003年の仕事だけど、どこかバブリーな雰囲気が、雑誌に残っていたように思う。

なんでも、ネットで探すことはできないから、情報誌がまだ元気だったのだ。

 

表紙は、奥琵琶湖にある『湖里庵』という鮒ずし懐石のお店である。

カメラマンの中川カンゴローさんと、取材に行った。とても寒い日だったのを覚えている。

 

 

「鮒ずしって、苦手なんです」と、中川さんが言った。

「癖がありますからね」

「前に、各家庭の鮒ずしを食べて競い合う企画に参加してからだめ。どれもひどくて」

どこかの媒体が、鮒ずし対決を企画したらしい。

それから、中川さんは鮒ずしが苦手なのである。

 

湖里庵は、鮒ずしで有名な『魚治(うおはる)』が経営している。

当時は、一日一客だけ泊まれる鮒ずしの宿であった。

昭和天皇は鮒ずしが大好きで、魚治の近くを通ると買い求めてくれた、と、ご主人が話してくれた。鮒ずしは、好きな人は、(とても)好きなのだ。

 

「この鮒ずしは、旨い」

取材をしながら味見をしていた中川さんが呟いた。

僕も同感だ。とても、品のあるなれ寿司だった。

 

だいたい不味いモノを食べると、嫌いになる。

例えば、子供の頃、不味いイクラやウニなどの海産物を食べると一生嫌いになったりする。

少々旨くても、不味かった記憶に引きずられて、不味く感じてしまう。

逆に、美味しいものを食べた記憶があると、大人になっても好物になる。

理屈は同じで、少々不味くても、美味しい記憶にに引きずられるのだ。

 

この法則を使っているのは、マクドナルドあ。

子どもたちに美味しい記憶を植え付けると、一生、マグドナルドのファンになってくれる。

おもちゃをつけたり、頑張っているのはその戦略があるからなのだ。

 

全開にした窓からは、冷たい琵琶湖の風が入ってくる。

寒い。もう、1時間以上、よい光が来るのを中川さんは待っているのだ。

中川さんが、手で四角い枠を作って景色を眺めていた。

「イメージを掴んでいるのですか?」と、僕は訊ねた。

「写真の上にカッコよく『サライ』と入れるにはどうしようかと考えてるんです」

表紙の写真に選ばれる工夫だそうだ。

で、撮れたのがブログの写真である。

 

お酒とおちょこが並べてあるけど、中は、水。

ちょっとインチキかも? 笑

紙媒体が、元気になることはたぶんなくて、今後、情報はネットに移り変わっていくのだろう。

 

そんな中、

あえて、ペーパー・ステージキット『ステージキッズ』を僕たちは売ろうとしている。

雑誌じゃないけどね。

紙の面白さは、アイデア次第で、いくらでもあると思っている。

 

文:紙本櫻士

 

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