
書斎は必要か?
長谷川町子さんがサザエさんを新聞で連載を始めたのは、昭和20(1940)年代である。
TVアニメは、昭和44(1969)年にフジテレビで放送が始まる。
子供ころ、カツオが年上だったのがいつの間にか追い越してしまうほど、長く続いている。
サザエさんの家は、一度は訪れた気分になっているのではないだろうか? みんななんとなく見知った家だけど、改めて間取りを見るとサザエさん夫婦の部屋が増築っぽいように見える。
玄関の位置も変えたのかもしれない。
トイレは和式で汲み取りだろうから、家の端にある。
昔の家は、トイレが住居スペースからできるだけ離れた場所にあったのだ。
今なら、寝室やリビングから近い場所に作るよね。
その方が便利だから。
核家族が進む以前の大家族が住んでいた時代のモダンな家なのだろうけど、みんな独立する現代のスタイルだと、最後はフネさんがひとりで住むことになるのだろうか。
当時は、
ご飯を食べる部屋と、寝る部屋があればよかった。
ちゃぶ台返しが得意な星一徹の家は、きわめてシンプルである。
サザエさんの家は、客間まであるから贅沢なのだ。風呂だってある。
現在の僕たちはどうだろう?
サザエさんの家のように、贅沢な間取りはどんな感じになるのか?
例えば、もうひとつ多目的な部屋があるといいかもしれない。
無駄なスペースは楽しいのだ。
釣りの道具を並べて、ルアーを作ったり、自転車を部屋に持ち込んで磨いてみたり、自分だけのバーを作ったり、麻雀をする部屋だったり、ギターやピアノを弾いたり。
サザエさんの時代は、必要なモノが必要十分にあれば幸せだった。
テレビや冷蔵庫や洗濯機が欲しかった。
いま、僕たちはいらないモノが欲しい。と、思っている。
それは、きっと書斎ではないだろう。
必要なモノを選んでいた時代が終わって、いらないモノを探して彷徨っている。
文:紙本櫻士
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