独占が続く世界はつまらない。
かつての東ドイツなど共産圏の製品は、どれを買っても同じデザインだった。
トラバントというクルマが東ドイツでは有名だけど、モデルチェンジもなく、黙々と同じデザインのクルマを作り続けた。
アイロンや、住宅も同じだ。
国家が独占する世界は、時間が止まったかのように同じモノを生産し続けるのかもしれない。
真似やコピーには問題があるけど、お互いがいいところを真似し合うことで、スタンダードになっていくのは正しい。
80年代にソニーのウォークマンが出現し、パナソニックなどから同じコンセプトの製品が溢れ出す。当初は、ウォークマンの独占状態だったが、売れると分かったパナソニックが資本を投下し類似製品を大量に売り始めた。
真似されてスタンダードに育っていった例である。
「録音機能がないプレーヤーは売れない」と、決めつけていた当時の常識を破ったのがウォークマンだ。
もともとある技術を使ったのだから、画期的なオリジナルではない。
他社が真似たと言っても、録音機能をつけずに「聴くだけ」のプレーヤーを作ったにすぎない。真似たのは、思想である。
東ドイツだったら、録音つきのバカでかいカセットプレーヤーが量産し続けただろうけど…。新しい発想が認められる世界は、素敵だと思っている。
アップルも既存の技術で、パーソナルコンピューターを作りヒットした。開発当時、一家に何台もパソコンが普及するとは思っていたかどうかは分からないけど…。
技術より、発想が大事なのだ。
発想はコピーされ、スタンダードになる。
ピカソだって、既存のキャンバスと絵の具を使って、新しい思想を描いた。
絵の具から開発しないと認めない。などはナンセンスだ。
初期のアップルが独自の技術じゃないから、パクリ製品だと揶揄するのはバカげてる。
既存のモノを組み合わせ、新しい発想という料理方法にデザインというスパイスを加え世に問えばいい。
美味しければ、みんなが欲しがる。
露骨にパクって、自分が元祖だと言いはるのはいただけないけど。
文:紙本櫻士
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