爆発的に流行らなくていい。
自分の商品や小説が、ヒットするのは嬉しい。
ベストセラーを書いたら、1億円の印税がドン! と入ってきたら、さぞ気持ちがいいだろう。
でも、毎年、ベストセラーを書き続けるわけにはいかない。
アリに、角砂糖をポンと与えた状態に似ているのだ。
何年か前、白いタイヤキが流行ったことがある。
なぜ、ブームが起きたかは分からないけど
「一度は食べてみよう」と行列ができるほど売れた。当時は、3時間待ちなどザラだったらしい。
その話を聞いて、たいやき屋を始めた人も多かった。なにしろ、飛ぶように売れるのだ。
ここで躊躇ったら、負け組、チャンスの女神は前髪しかない。などと、脱サラした人たちは白いたいやき屋を開業した。1年くらいはみんな好調に売れた。
フェラーリのカタログを眺めながら、たい焼きを売りまくっていたという話も読んだことがある。
やがてブームは去り、逃げ送れた人は借金の山が残った。
ベストセラーになるような売れ方はどうもよくないように感じる。
ダッコちゃんや、フラフープ、アメリカン・クラッカーみたいにね。
昭和のヒット商品だけど、もはや見かけない。
ずっと必要なモノを見極めないと、えらい目に会うようだ。
必要ではないモノは素敵だけど、ヒットしすぎると危ない。
お祭りのテキ屋から、冷やしたアイス風の白いたい焼きを、買ったことがある。
ブームが去って何年か後である。
「ください」と、言うと素早く手渡され「五百円」を要求された。
袋を破り、別の紙に包んで手渡されたから、いらないとは言いにくい。
仕方なく500円払ったけど…。テキ屋独特のボッタクリの手法である。
10個売ったら5000円かぁ、お祭りのドサクサじゃないと売れなさそう。
珍しいからといって、簡単に手を出してはいけないのだ。たぶん。
売る方も買う方も。
文:紙本櫻士
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