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泥棒市場が、ドン・キホーテ。

ドン・キホーテの快進撃。

 

1978年、東京杉並で開店した雑貨店『泥棒市場』が、ドン・キホーテの前身である。

雑然と商品が並ぶ、深夜営業の雑貨店が受け、ドン・キホーテと改名した後は快進撃である。

迷路のような陳列と、狭い通路。ずっと、ドンキはこのスタイルだそうだ。

百均にしろ、ドン・キホーテにしろ、デパートに行く客層と競合しない。

デパートやスーパーより、ドンキや百均を好む人が、思った以上いた。

リスクを取って、やってみないと分からないけど…。

 

デフレなど、経済の論理で成功の説明を読んだことがあるが、たぶん、好みの問題だと思う。ドンキが好きな人は、深夜、用がなくてもフラッと寄るのではないか。

派手なポイントが入った白いジャージに、ネックレスとドクロの指輪をしたカップルが、小学生くらいの子供を連れている。クルマは、スモークを貼ったワンボックスカー。

いろんな人が利用しているだろうけど、ドンキの客層は僕には違ってみえる。

 

余談だけど、

「赤いムーブが、雨が降る高速道路でモクモクと煙を出して、エンコしている風景が見えたよ」と、事務局の広瀬に言ったことがある。

当時、彼女はダイハツ・ムーブに乗っていた。赤の軽自動車だ。

「なんてこと言うんだ!」と、彼女は言った。

「ドンキで買った、水晶玉に写ってたんだ」

「そんなの売ってんのかよ?」

「780円で、電池は別売りだけどね」

 

一ヶ月後、広瀬のムーブが、阪神高速でモクモクと煙を上げて動かなくなった。土砂降りの中である。おっとさすが、ドンキの水晶玉と思った。もちろん、そんなものないけどね。

 

「琵琶湖の辺りで、エンコした赤のムーブが見えるよ」

その報告を聞いた時、僕が冗談を言うと

「なんてこと言うんだ」と、広瀬は叫んだ。

それ以降、彼女は琵琶湖方面に赤のムーブでは行かず、新車に乗り換えた。

780円で、そんな水晶が売ってそうなんだ。ドンキって。

僕のドンキのイメージである。

 

どんな市場があるかは、やってみないと分からない。

ドンキも百均も、やってみたのである。

まずは、作るより売れなんだろう。

 

文:紙本櫻士

 

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