僕たちの旧ステージキッズは、出来が悪い息子であった。
ステージを提供したい。
と思って、考えたステージキッズだけど、旧ステージキッズは商品というより製品だった。
見ての通り、出来が悪い。そして無愛想である。
耐久性もあり繰り返し使え、女性でも組み立てが簡単。という、コンセプトは満たしていたけど、写真のように無骨だし、商品としての魅力が低い。
セックスアピールもない。たぶん。
なので「これ欲しい!」と、簡単にはいかない。
部品点数も多く、持ち運びも大変だ。軽自動車にも乗らない。もし乗せたら、運転が大変である。危ないし。
また、旧ステージキッズを持って営業に行くと、組み立てる時、ちょっぴり恥ずかしかった。
できそこないの子供を紹介しているようなのだ。
「こう見えて、いいとこあるんですよ。勉強もスポーツもだめですがね」
そんな感じだ。
その後、ブラッシュアップが進み、息子はずいぶん立派になった。
製造元も変わり、設計も新しくなった。
これからも切磋琢磨して、さらに優秀になって欲しいわけだが、立派になると自慢したくなるのが親心だ。
現在、同時に開発している紙鍋キット『にえたった』も同じく「こんなのできだんですが」と、言いふらしたい商品だ。
ただ、どちらも賛否両論で「すごく好き」と「こんなのいらない」と、紹介後の反応が面白い。
で、ディベートが始まる。
ディベートで次第に、賛成のための賛成と、反対のための反対にまで発展する。
人間にはしっぽが必要派と、いらない派に分かれて、ディベートしている感じである。
これはとても歓迎すべきことで、人の印象に残るのだ。
つまり「心にクサビを打つ」製品だと思っている。
話題にも上らないその他大勢の「いい息子」だと、自慢のしがいもない。
というわけで現在、息子たちを自慢中なのです。
文:紙本櫻士
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