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市場調査なんていらない?

「たまに、この世のすべてを変えてしまうような革新的な製品が登場する。

自らのキャリアの中で、そのような製品のひとつでも関わることができたら、これほど幸運なことはない」

 

アップル・コンピューターの創設者、スティーブ・ジョブズは言う。

彼は、市場調査をしなかったそうだ。

「ベルが電話を発明する時、市場調査なんてしなかった」が、その理由だ。

徹底的に自分が欲しいモノを考える場合、市場調査はナンセンスらしい。

彼は芸術家なのかもしれない。

 

僕がマックに初めて触れた80年代、マウスで操作するのに驚いた。

当時、僕はNECのPC9801というマシンを使っていた。キーボードと3.5インチのフロッピーディスクがついているヤツだ。

パソコンに何かをやらせるには、コマンドを打ち込む。例えば、インストールしたいソフトがあったら、A_install _B と打ち込めばいい。

「マウスなんてオモチャだ」などと、マックが揶揄されていた時代だった。

でも、そのオモチャが、今は当たり前になっている。

 

「MDなんて、過去の遺物になる」と、iPodの紹介をする時スティーブは言った。

そして、予言通りになっている。

iPhoneの登場では、携帯電話が駆逐された。

マウスをオモチャだと言っていた人たちに見えない世界が、スティーブには見えていたたのだろうか? というより、スティーブは「そんなモノが欲しかった」だけだと思っている。

「ベルが電話を発明する時、市場調査などしない」という考え方だ。

 

世の中にない革新的な新製品を考える時「そんなモノが欲しい」という、気持ちが大事なのだろう。

僕たちが作っているモノで、少しでも世の中が変われば嬉しいのだけど…。

 

文:紙本櫻士

 

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