ぴあといえば、及川正通のイラストだった。
去年の『千人の月見の宴』は、手売りだ。
300席ほどだったけど、素人の僕たちには大変な作業だった。
電話、メールで注文を受け、リストを作り、チケットを発行し送り届ける。やることは、これくらいだけど。
手が足りなくてアルバイをふたりお願いして、やっと、事務作業をこなした。
実に、しんどかった。
さて、今年は1000人くらいの席を用意している。僕たちは、やっと手作業は限界だと悟り、キョードー大阪はどうだろう? と、アポを取り料金などを聞いてみた。
手数料は8%で、基本、オーケー。ただ、イベント全体を仕切って運営したい。との意向だった。
でも予算を聞いたら、とても僕たちが払える金額じゃない。
「助成金ないんですか?」と聞かれ、
「ないです」と、答えると意外な顔をしたように見えた。
何度か経験したけど、助成金なしに地域のイベントをやるのは珍しいみたいなのだ。
「ないです」と僕が答えると、たいてい意外な顔をされる。
後日、キョードー大阪に連絡を入れると『ぴあ』を紹介された。
キョードー大阪では、やはり扱えなかったのかもしれない。
大学生の頃、映画や芝居を見ると言えば、時間や場所を調べる定番の雑誌がぴあだった。というか、ぴあでしか情報を入手できなかった。ネットもなかったしね。
表紙のイラストは、これも定番の及川正通さんだ。同じ雑誌の表紙に描き続けたとして、ギネスブックに登録されているくらい、お馴染みである。
その後、チケットぴあが登場し、ぴあに電話してチケットを手に入れるスタイルが定着した。コピーライターの僕は、何度かぴあに広告や記事を書いたこともある。
広告掲載料が、当時、1ページで250万だったりして「高いなぁ」と思ったのを覚えている。50万部くらい売れていた、ぴあ絶好調の時代だった。
2011年、『ぴあ首都圏版』が休刊になる。
もはや、雑誌で情報を買う時代は終わった。あの表紙が店頭から消えるのはさびしいけど、ネットで情報は手に入るので致し方なしだ。
ぴあもWEBに舵を切って、現在に至っている。
そのぴあと、何十年ぶりかで僕は関わることになった。広告を書くわけじゃないけどね。
さて『千人の月見の宴』は、チケットぴあで8月26日から販売する。
セブンイレブン、サークルK、ローソン、ファミリーマートなどで手に入れることができる。便利になったものである。
文:川はともだち 代表 紙本櫻士
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