水道水は、旨いのか?

子供の味覚は、3歳までに決まるらしい。

 

味覚というより、好きな味ですね。で、大体5歳で完成される。

 

最初に、まずいものを食うと、一生その味が苦手になってしまう。

例えば、イクラ、ウニとか、カキとかの海産物だ。

偽物ひどい味は、その後、少々旨いものを食べても、不味い記憶に引きづられて食べることができない。

その逆もあって、最初に旨いものを食べたら、少々まずいモノでも美味しく食べることができる。

 

その法則に気づいているのがマクドナルドだ。

子供にマクドナルドの味を覚えてもらって、一生涯の客に育てる戦略である。

玩具を用意したり、あの手この手で子供たちに食べてもらう。

それが悪いわけじゃない。

小さいときに慣れた味が、大切な僕たちの原風景となる。ただそれだけである。

家族連れで賑わっている回転寿司とか、ファミリーレストランも、子供の頃に慣らされている味だと思う。

僕たちは、企業の戦略の中で生きているのだ。

 

おそらく味ばかりでなく、クルマの乗り心地や、テレビや音楽の習慣など、子どもたちは5歳までに多くを学び、習慣化する。

それが、家風になるのかもしれない。

 

水道水なんかも、僕たちが習われた味なのかもしれない。

味がしない蒸留水より、水道水の方がずっと美味しいと感じる。

「水道水を好きになって欲しい」と思っていないだろうけど、結果としてね。

 

雑誌『あまから手帖』の取材で、おいいし水を探す企画があった。

福井県小浜市に『瓜割の水』という湧水があって、僕はそこに行くことにした。

その水が旨いのだ。

初めて飲むのにである。

慣れた水道水と比べようもない。

『本物』には、かなわないのだろう。

小浜に行くと、食べ物が旨い。なんでもない味噌汁も美味かったりする。

どうやら、水が旨いのだ。大阪と違って…。

なんだか、ずるい。

 

写真は、京都桂離宮の近くにある『中村軒』のかき氷である。

美味しい水を食べるようなかき氷だった。

 

文:川はともだち 代表 紙本櫻士

 

千人の月見の宴

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