交野新聞『ボクの神様』11話
「はいさい!」
伸ちゃんの部屋でマンガを読んでいると、縁側から声をかけられた。
赤いアロハを来て、麦わら帽子をかぶり、
半ズボンをはいた小柄な男が立っていた。
「カミさんは、ここかい?」
その男は、首にかけた手ぬぐいで汗を拭きながら言った。
「伸ちゃんなら、出かけてます」
「カミさんさー」
そう言うと、赤アロハは縁側に腰掛け、帽子を脱いだ。
「神さまのこと?」
「ないちゃーは暑くて、やる気でないさー」
「上がってください」
と、僕が言うと
「だからよー」
と、答えた。癖なのかも知れないが、どうも、要を得ない。
「麦茶飲みますか?」
僕は、ちゃぶ台に置いてあるヤカンから、ヌルい麦茶をコップに注いで赤アロハに渡した。
「なんでかねー」
そう言うと、麦茶を飲み干し自分でお代わりを注ぐと、立て続けに3杯飲んだ。
余程、喉が乾いているらしい。
「写真がいるんだって?」
と、赤アロハが言った。
「沖縄の人ですか?」
妖怪の人ですか? と、本当は尋ねたかった。
「分かるん?」
と言うと、嬉しそうに4杯目の麦茶を飲み干した。
☆
「キムジー来てくれたんや」
しばらくすると神様が現れた。
来たというより「現れた」そんな感じ。
「だからよー」
と、言いながらキムジーは、また麦茶を注いでいた。
「うちなーのどーしさー」
と、キムジーが言った。
「どーし?」
「友だちのことやな」
と、神様が言った。
「選挙の応援の人?」
「眼力がある写真を撮るんや、キムジー」
でも、カメラマンではないという。
「ええ声した友だちも呼んでる」
「だからよー」
大丈夫なのか。
つづく
文:紙本櫻士
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