ネットでモノを売るということ。
ネットでCDを売る通販会社に、エッセイを書く仕事をしたことがある。
3年くらい続いたけど、その会社はなくなってしまった。
楽天もAmazonもなかった時代である。
その社長は、ネットでモノが売れるんじゃないか。
と気づいた。
商品の選択は、CDだ。
店を構えなくていいし、客はネットで注文するだけ。
わざわざ出かけなくても買える。
素晴らしいじゃないか。
と。
スタートアップ当初は、上手く行った。
ところが、似たようなCD通販のサイトが、次々立ち上がったのだ。
なんとかしようと、サイトを盛り上げるために僕に音楽エッセイを依頼したのである。
ブログもない時代だから、読み物コンテンツのあるサイトは珍しかった。
ある程度、集客はできたようだけど「CDを売る」という、本質からは外れた戦略だったと思う。
CDに魅力がなければ、いけない。
人を集めるは必要だけど、本質は「魅力のあるモノ」を集めることだった。
ZOZOの前澤友作さんは、当初、バンド活動をやりながら、海外のレコードやCDを売る。
「自分が好きだったCDを友だちが欲しがったので、2、3枚多く買って友だちに譲ってたんです。
それを、ライブ会場で売ったら好評で、通販を始めたら飛ぶように売れた」
彼の事業は、そこから始まる。
通販で売れるものをネットに持って来たから強い。
そこで、アパレルも行けるんじゃないか?
と、始めたのがZOZOである。
「自分が欲しいものは、みんなも欲しい。それを売ればいい」
きわめてシンプルだ。
「自分がいらないモノを人に売る」
それをビジネスにしたのは、メルカリである。
ZOZOと逆の発想なのが、面白い。
ZOZOは「人が欲しいモノ」を集め、
メルカリは「いらないモノを売りたい人」を集めた。
モノがネットで売れると気づいたのは、倒産したネット通販会社が、何年も先である。
失敗の原因は、自分が売りたいもの(いらないもの)をネットで売ったことだろう。
うまくいかなかった理由も、シンプルだ。
「自分も欲しいモノを売る」か、「売りたい人を集める」か。
期待が持てる起業は、二択なのかも知れない。
Amazonは前者、楽天は後者である。
たぶん。
文:紙本櫻士
https://komezensen.jimdofree.com/
【人気記事】
【マンガな米前線】
コメントをお書きください